東海自動車株式会社 様

伊豆半島を繋ぐ東海自動車。デジタルマップで半島内各所の認知度向上と観光客誘客を目指す


静岡県伊豆半島でバス事業を中核に、不動産事業や観光事業など多角的に展開する東海バスグループ。その一翼を担う東海自動車株式会社は、伊豆半島における移動と観光の促進を担っています。今回は、伊豆半島全体の観光情報を発信するサイト「Izu Letters(イズレターズ)」の運営を担っている広報CSR推進課の日下部様と榎本様に、プラチナマップの活用についてお話を伺いました。

「Izu Letters」の成り立ちと、プラチナマップ導入の背景

- まず、観光サイト「Izu Letters」を開設した経緯を教えてください。

伊豆半島には各市町村の観光サイトは充実している一方、半島全体を網羅したサイトは不足していました。伊豆半島全域を事業エリアとする当社だからこそ、地域全体の認知度向上と集客促進を担うべきだと考え、観光サイト「Izu Letters」を開設しました。

伊豆半島全域の情報が掲載された観光サイト「Izu Letters」
伊豆半島全域の情報が掲載された観光サイト「Izu Letters」
https://izu-letters.jp/

民間企業である当社は、公共機関と異なり掲載施設の選定に制約がありません。そのため、本当にオススメしたいスポットを厳選して紹介でき、有名なスポットだけでなく長年伊豆半島でバス事業を展開する当社が知る隠れた名所も発信することで、伊豆の魅力を多角的に伝えられると考えました。

Izu Lettersのコアターゲットは首都圏在住の20〜30代の女性で、特に写真撮影を趣味とする層に設定しました。実際に伊豆の魅力を体験した際に、SNSで魅力的な写真や動画を発信してもらうことで、口コミによる情報拡散効果を狙っています。

- デジタルマップ導入前に感じていた課題はありますか?

Izu Letters開設の検討段階で、首都圏在住のユーザーをコアターゲットとしていることから、伊豆半島の地理に詳しくない方が多く、観光スポットの住所だけでは位置を正確に把握しづらいという課題が想定されました。そのため、伊豆半島に馴染みのないユーザーにも観光スポットの位置情報を分かりやすく伝え、快適な旅行体験を提供したいと考え、ユーザーが各スポットのイメージを容易に掴めるデジタルマップが必要不可欠だと考えました。

- 同様のサービスが多種ある中で、プラチナマップを選んだ理由を教えてください。

当初はGoogle マップの活用も検討していました。しかし、Izu Lettersに掲載されていないスポットも表示されてしまうことがネックでした。そこで、デジタルマップの情報を収集していた際に、ネット検索でプラチナマップを見つけました。プラチナマップのWEBサイトで多種多様な機能を見たり、実際にデモ画面を触ってみたりする中で、使い勝手や見やすさ等の総合的な面で、プラチナマップに魅力を感じました。

また、ターゲットとなる伊豆に詳しくない首都圏のユーザーが、各観光スポットの位置を正確に把握しづらいという課題を、プラチナマップで解決できると感じました。プラチナマップの魅力のひとつは、写真付きの画像ピンをマップ上に配置できる点です。視覚的にスポットの情報を認識しやすく、ユーザーは「どんな場所だろう?」と興味を持ちやすくなります。Izu Lettersの主要ターゲットには写真撮影を趣味とする層も含まれるため、視覚的な訴求は特に重要です。プラチナマップでは各スポットに写真を10枚まで設定できるため、各スポットにフォトジェニックな写真を複数設定すれば、ユーザーの心を掴めると考えました。

写真付きの画像ピンによりスポット情報が可視化されているプラチナマップ
写真付きの画像ピンによりスポット情報が可視化されているプラチナマップ

そして、プラチナマップ導入の最後の決め手となったのは、実際にプラチナマップを利用中の企業や自治体へのヒアリングでした。数社に直接連絡を取り、導入事例を参考にしながら、使い勝手や運用上の課題、効果などについて詳細なヒアリングを実施しました。その結果、プラチナマップはまさに私たちが求めていたサービスだと感じ、導入に至りました。

プラチナマップ導入で体感した、効果と気付き

- Izu Lettersとデジタルマップにはどのくらいの流入がありますか?

Izu Lettersは月間約8万人のユーザーにご利用いただいており、サイトに埋め込まれたデジタルマップは約3万PVを記録しています。これはユーザーの約40%がデジタルマップを閲覧しているという計算になります。伊豆半島に馴染みのないユーザーにも観光スポットの位置情報を分かりやすく伝え、視覚的に各スポットのイメージを容易に掴めるデジタルマップの提供は、Izu Lettersの解説が決まった当初からの課題でした。しかし、プラチナマップを導入し、スムーズに使える管理画面と充実した機能を活用したことで、この課題を解決できたと考えています。Izu Lettersとデジタルマップ間の回遊によって、伊豆のより詳しい情報を提供できている点も大きな成果です。

ダッシュボードではPV数や検索されているスポットなどが一覧で見ることができる
ダッシュボードではPV数や検索されているスポットなどが一覧で見ることができる

また、観光案内所や主要観光施設に設置したIzu LettersのPOP広告も、アクセス数の増加に貢献しているのではないかと考えております。加えて、SEO対策の効果もあり、Googleからの自然流入がアクセスの中心となっています。

- デジタルマップの登録スポット数が391件と、かなり多いですね。

デジタルマップ公開の初期段階では、約200箇所のスポット情報を掲載しました。多くのスポット情報を掲載するにあたり、各施設への情報確認は電話連絡で一つ一つ丁寧に確認作業を行いました。デジタルマップへのスポット情報の登録は、Excelファイルによる一括登録が可能だったためスムーズに作業を進めることができ、効率的に情報登録ができたと思います。情報掲載をした店舗さんからも、デジタルマップやスポット詳細が見やすいと好評をいただいております。

※ 2024年11月のインタビュー時点でのスポット登録数

スポット管理画面では詳細情報や写真、位置などの登録ができる
スポット管理画面では詳細情報や写真、位置などの登録ができる

- デジタルマップを導入したからこそ分かった気付きはありましたか?

Izu Lettersとデジタルマップでは閲覧傾向に違いが見られ、興味深い結果となっています。デジタルマップを通じて、これまで気づかなかった観光スポットの価値や、ユーザーの興味の方向性を新たな視点で発見できるようになりました。

例えばデジタルマップ上では、隈研吾さんが建築した人気のカフェ「Koeda House」のPV数が最も高いです。しかし、Izu Letters上では、そのカフェが所在するテーマパーク「ACAO FOREST」が上位に位置しています。テーマパークのサイトから流入し、デジタルマップ上ではカフェに遷移しているなどの推測が可能です。また、伊豆には著名な観光スポットや人気の飲食店など様々なスポットが存在する中で、予想外の店舗がスポットPV数ランキングに登場することもあります。
WEBサイトの分析だけでは得られない、デジタルマップならではのユーザーの興味関心行動に関する知見が得られるため、今後のマーケティング戦略に活用できる貴重な情報となっています。

伊豆らしさを伝えるための、マップ作成時の工夫

- カテゴリーを細分化した経緯を教えてください。

Izu Lettersでは広範囲にわたる伊豆半島全域をカバーしているため、検索範囲が広がりすぎてユーザーにとって使いづらいものにならないよう、細やかなカテゴリー分けを導入しています。プラチナマップはカテゴリー設定を自由にカスタマイズできるだけでなく、カテゴリーの中にカテゴリーをさらに設定できるサブカテゴリー機能もあるため、併せて利用しています。これらの機能を活用し、Izu Lettersのサイト構成に合わせた分類と細分化を実現しました。サイトとマップの構成を統一することで、ユーザーが違和感なくスムーズにサイトとマップを行き来し、情報を入手できるよう配慮しています。

Izu Lettersとプラチナマップのカテゴリーを統一し、ユーザーが違和感なく使用できる仕組みに
Izu Lettersとプラチナマップのカテゴリーを統一し、ユーザーが違和感なく使用できる仕組みに

Izu Lettersでは、トップページ以外にも、各エリアやカテゴリごとに特化したデジタルマップを埋め込んで表示するようにしています。例えば、東伊豆エリアのページにアクセスした場合には、東伊豆エリアのスポットが拡大表示されたデジタルマップを、温泉カテゴリのページにアクセスした場合には、温泉スポットのみが表示されたデジタルマップを表示しています。このように、アクセスしたページの内容に合わせて異なるデジタルマップを表示することで、広大な伊豆半島の中から目的を絞りやすくし、ユーザーの利便性向上に繋がるようにしています。

Izu Lettersで東伊豆の紹介ページを開くと、対象エリアが拡大されたマップが表示される
Izu Lettersで東伊豆の紹介ページを開くと、対象エリアが拡大されたマップが表示される

- その他にどのような点に配慮したのか、具体的に教えていただけますか?

プラチナマップ上の各スポットには、Izu Lettersへ遷移するリンクを設定しています。例えば、スポット詳細画面を開き、末尾にある「詳細」ボタンをクリックすると、そのスポットを特集したコラム記事や関連情報が掲載されたIzu Lettersの該当ページに遷移する仕組みです。これにより、ユーザーは簡単に詳細情報へアクセスでき、デジタルマップとIzu Letters間の回遊性の向上、ひいてはWEBサイト全体の利用促進効果も期待しています。

スポット詳細画面左下の「詳細」をクリックすると、Izu Lettersのコラムなどに遷移する
スポット詳細画面左下の「詳細」をクリックすると、Izu Lettersのコラムなどに遷移する

また、伊豆は四季折々の魅力が満載です。例えば花のカテゴリーでは、季節ごとの開花情報を更新することで、一年を通して多くの観光客の誘致を目指しています。スポット情報は随時追加し、旅行前の情報収集ツールとしてはもちろん、旅先でのナビゲーションツールとしても、旅マエ・旅ナカの両方でご活用いただければと思います。

デジタルマップのデータ活用で目指す、今後のビジョン

- ダッシュボードで取得できたデータはどのように活用していますか?

プラチナマップのダッシュボードで取得できたデータを活用し、地域活性化に繋がるイベントなどの企画を進めていきたいです。2024年の4月から6月にかけては、NFTをテーマにしたスタンプラリーを実施しました。それに変わる新しい企画をプラチナマップ上で作成したいと考えています。プラチナマップでは、作成したデジタルマップを活用してデジタルスタンプラリーを実施することもできるので、ダッシュボードで人気の観光スポットを分析し、それらをスタンプスポットに設定するなど、伊豆の周遊をさらに促進できるようなイベントを計画中です。

また、ダッシュボードで得られたデータは、WEBサイト運営において貴重な情報源となっています。正直なところ、Izu Lettersのサイト運営だけでは、実際にユーザーが旅先でIzu Lettersを活用しているのかが分かりません。しかし、デジタルマップのスポット詳細画面には、経路検索機能として「案内を開始」ボタンが設置されています。このボタンをクリックすると、ユーザーの現在地からスポットまでの経路がGoogleマップ上に表示される仕組みです。ダッシュボードでは、この「案内を開始」ボタンのクリック数が集計されています。経路検索を行うユーザーは実際にスポットへの訪問を検討していると考えられるため、この「案内を開始」ボタンのクリック数は、スポットへの訪問率を推定する上で重要な指標となると考えています。このデータからは、ユーザーが旅先でデジタルマップを活用している様子がうかがえるため、Izu Letters運営チームのモチベーション向上にも繋がっています。

ダッシュボードでは各スポットのPV数などが閲覧できる
ダッシュボードでは各スポットのPV数などが閲覧できる

- 今後の展望を教えてください。

まずは、ダッシュボードから得られるデータ分析を活かし、デジタルスタンプラリーなどのデジタルマップと連動した施策を展開していきたいと考えています。そして、デジタルマップのスポット情報は今後も継続的に充実させていきます。旅行前の情報収集だけでなく、旅先でのナビゲーションツールとしても、Izu Lettersとデジタルマップを回遊しながらご活用いただき、伊豆の魅力を最大限に満喫していただきたいと考えています。

プラチナマップの今後の機能拡充にも期待しています。例えば、ユーザーがお気に入りのスポットを登録するだけで、自動的にオリジナルのモデルコースが作成される機能などが追加されれば、一人ひとりの興味や好みに合った伊豆の楽しみ方を提案でき、ユーザー体験の質をさらに向上させることができると考えています。

そして、Izu Lettersとデジタルマップを通じて、伊豆全体の認知度を高め、より広範囲からの集客と、地域内での観光客の移動を促進し、最終的には当社のバス事業の利用拡大にもつなげていきたいと考えています。


東海自動車株式会社様 会社概要

東海自動車株式会社様

東海自動車株式会社は静岡県の伊豆で100年以上バス事業を中心に、不動産業や観光業など、さまざまな事業を展開しています。地域の重要な交通インフラである路線バスや高速バス・貸切バスの運行、伊東市にある観光施設「小室山リッジウォーク”MISORA”」や西伊豆町にある宿泊施設「ばすてい」の運営など、地域住民や観光客の安全で快適な移動をサポートし、地域社会の発展に貢献しています。2024年12月には伊豆市にあるバスのりば「修善寺温泉」にバウムクーヘン工房併設カフェをオープンし、今度も伊豆半島の”移動”と”観光”を支えていきます。
https://www.tokaibus.jp/

ありがとうございました。